さて、今回はテニスコートの種類について解説していきます。
テニススクールに通っている方で、「よし、これから試合に挑戦しよう!」と、草大会に出場した時に、「あれ、いつもやってるスクールのコートと違う」ということは、よくあります。
その時に、慣れないコートでうまくプレーが出来なかったという話をよく聞きます。
プロの選手達もコートが変われば、プレーが変わります。
『あのコートでは勝てるけど、このコートでは勝てない』というように、コートの種類が変わったら勝てなくなるということも、よくあります。
そのくらいコートの種類は大切で、各コートに対する知識と対策は必要です。
まずは基本的な知識を身につけ、それぞれのコートの特徴を知り、試合で気をつけるポイントをお伝えいたします。
特に、これから試合に挑戦しようと思っている人は、ぜひ一度読んでください。
目次
現役テニスコーチが教えるテニスコートの種類①砂入り人工芝コート(オムニコート)
まずアウトドアテニススクールや、公営コートで一般的な、砂入り人工芝コートです。
砂入り人工芝コートの特徴
このコートの特徴は、その名の通り人工芝コートの上に砂があるため、足腰に優しいのが特徴です。
ボールがバウンドした後に、球足が遅くなりやすく、跳ねづらいため、ラリーが続きやすいです。
そのため多くのアウトドアテニススクールで採用されています。
砂入り人工芝コートがあるのは、日本と一部の国だけで、海外はほとんどありません。
オムニコートは一部の砂入り人工芝コート
多くの人は砂入り人工芝コートを『オムニコート』と呼びますが、それは正確ではありません。
『オムニコート』は住友ゴム(株)が作る砂入り人工芝コート(の名前)です。
他の企業が作る砂入り人工芝コートでは、別の名前で呼ばれています。
ただ、現状テニスをやっている人ならオムニコート=砂入り人工芝コートでわかります。
ちなみに、別企業が作る砂入人工芝コートの名前は聞いたことがありません。
砂入り人工芝コートでの気をつけるポイント
ボールが跳ねづらく、球足が遅いため、非常にラリーが繋がりやすいです。
ショットのスピードやスピンの攻撃力やスライスショットのように跳ねないボールで、いかに攻撃していくかがポイントです。
また、フットワークも滑りやすいため、しっかり止まることや下半身のバランスは求められます。
私が働いているスクールも砂入り人工芝コートです。
現役テニスコーチが教えるテニスコートの種類②ハードコート
海外の多くのコートがハードコートで、テニスの四大大会で唯一2大会(全豪と全米)で採用されています。
セメントやアスファルトの上に、コーティングされた化学樹脂を塗るコートになります。
化学樹脂の種類や、コーティングと化学樹脂の前にクッション材を入れたりと、種類は様々あります。
ハードコートの特徴
ボールがバウンドした後に、球足が速くなりやすく、跳ねやすいのが特徴です。
またその名の通り、コートも硬いため、足腰に負担が来やすいです。
ハードコートでの気をつけるポイント
スピンをかけて、高い打点で打たせる選手が多いです。
特にサーブは、スピンサーブで相手のバックハンドに跳ねさせて、崩す選手が多く、あたり損なったらすぐ浅くなって攻撃してきます。
足腰の負担も大きく、私はハードコートで試合をした後は、必ず下半身が筋肉痛になります。
特にお尻です。
ただ、砂入り人工芝コートと違って、フットワークの切り返しはしやいので、個人的には好きなコートです。
砂入り人工芝コートで行う、スライドステップは初級者は気をつけてください。
コートが滑らないため、足を捻る可能性があります。
※上級者はハードコートでもスライドステップを行います。
現役テニスコーチが教えるテニスコートの種類③クレーコート
土のコートです。
日本の地方では多くのコートがクレーコートで、海外ではスペインが主流です。
日本は、粘土質の土の上に砂を巻いていて、海外ではレンガを砕いて使う土を利用していることが多いです。
四大大会では全仏オープンで採用されています。
クレーコートの特徴
ボールがバウンドした後に、球足が遅くなりやすく、跳ねやすいのが特徴です。
ラリーが続きやすいので、展開力が身に付きやすいことと、フィジカルの強さも大事になってきます。
またコートによっては、凹凸もあり、イレギュラーも出てきやすいので、メンタル的な対応も必要になります。
土のコートなので、靴が滑りすぎないようなフットワークはより求められます。
クレーコートで気を付けるポイント
断然ストローカーが有利になります。
ネットプレーに出ても、ボールが跳ねやすく、遅くなるため、相手選手にカウンターショットを食らうことも多数です。
高い打点の打ち合いになることが多いので、しっかりスピンをかけて相手をコート後方に追い込むことが求められます。
全仏オープンでもそうですが、ランキング下位の選手が金星をあげることも多いので、番狂わせが起きやすいです。
私もかつてレベルが上の選手につないでつないでつないで、なんとか勝利をもぎ取った経験があります。
現役テニスコーチが教えるテニスコートの種類④カーペットコート
その名のとおりカーペットのコートです。
新しいコートは、じゅうたんのようにふかふかしてるところもあります。
主にインドアテニススクールで用いられています。
カーペットコートの特徴
ボールがバウンドした後に、球足が速くなりやすく、滑ってきやすいのが特徴です。
スライスサーブは見たことないぐらい切れ味が鋭くなるコートもあります。
カーペットコートで気を付けるポイント
スライスショットやスライスサーブは加速しているんじゃないかと思うほど、バウンド後に変化してきます。
自然とラリーのテンポも速くなり、ライジングで処理しないと間に合わないケースが多々あります。
フットワークもスライド出来ないので、しっかり下半身の切り返しを意識して行うことが大事です。
現役テニスコーチが教えるテニスコートの種類⑤芝コート(グラスコート)
天然芝のコートです。四大大会では全英オープン(ウィンブルドン選手権)で採用されています。
グラスコートの特徴
ボールがバウンドした後に、球足が速くなりやすく、滑ってきやすいのが特徴です。
また天然芝の為、激しいフットワークが続くと、芝が削られてきて、バウンドが変化しやすいです。
グラスコートで気を付けるポイント
まずはサーブリターンです。
サーブがバウンド後に滑ってくるため、サーブが強い選手が非常に有利です。
またスライスショットもバウンド後に伸びてくるため、グラスコートになると多用する選手が増えます。
今はラケットの進化とともにストロークが強くなりましたが、昔はグラスコートといえば、サーブ&ボレーでいかに早く攻撃するかが主流でした。
現役テニスコーチが教えるテニスコートの種類と気をつけるポイント、まとめ
〇砂入り人工芝コート 日本のアウトドアスクールや公営コートで使われやすい。
ボールの弾みは低めで、遅くなりやすく、足腰の負担が少ない。
〇ハードコート 世界で多いコート。唯一四大大会で2大会に採用されている。
ボールが高く弾み速くなりやすい。足腰の負担が大きい。
〇クレーコート 主にスペインで多いコート。全仏オープンで採用されている。
ボールが高く弾み、遅くなりやすい。フィジカルの強さが求められるので番狂わせが起きやすい。
〇カーペットコート 主にインドアテニススクールで採用。
ボールが低く、滑ってきやすい。スライスサーブを打つことが大切。
〇グラスコート 天然芝のコート。全英オープンで採用されている。
ボールが滑ってきやすく、速くなりやすい。
ビッグサーバーに有利と言われている
試合会場が決まったら、コートの種類をチェックし対策をしっかり覚えておいてください。