10月も終わりに近づいてきました。
日中は暖かい日が続いていますが、これから冬に向け、気温が下がっています。
先日の全仏オープンで、例年5月~6月開催されていた大会が、コロナウイルスの影響で2020年は、9月~10月の開催となりました。
この影響で、大会が始まってからだんだん寒くなっていくことで、選手たちの対応は多々変わってきました。
『えっ、気温が変わっても結局ナダルが優勝したから、そんなにプレーには影響ないでしょ』と思う方もいるかもしれません。
しかし、結果的に完全優勝したナダル選手でも、『今大会は僕にとってチャレンジだ』と寒さに対しての対応が、いかに難しいかを語っています。
この記事では、これから寒くなっていくにつれて、寒さの中でプレーするときの基本的な考え方や一般プレーヤーでも使える戦術、準備することなどまとめました。
ぜひ、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
寒いとなぜボールが飛ばない?その理由は?空気圧?

まず、寒いとボールが弾みづらく、飛ばなくなります。
その理由は、寒さがボールに対して影響するからです。以下、テニスメーカーのプリンスが上げている記事を引用します。
影響の大きい第一要素は、「ボール自体」が飛ばなくなることです。一般的なテニスボールは「プレッシャーライズドボール」といって、「ゴムボールの弾力」と「ボール内の圧縮ガス」の両方によって飛ぶシステムになっています。つまり、ゴムの塊であるスーパーボールの弾力と、サッカーボールのような圧縮内圧による弾力の両方によって飛ぶのがテニスボールなのです。
温度が低くなると、まずゴム自体が硬くなって弾力性が落ちます。「冬は打球感が硬く感じる」というのは、実際にボール自体が硬くなるわけですから、もっともなことです。
そして気温が下がると「ボール内圧が低下」します。これは「空気が抜けたような感覚」と同じです。実際にボール内に入っているのは窒素ガスですが、新品のボールでも、低気温では「飛ばないなぁ」と感じるものです。
引用:プリンスHP
なるほど、と思った方も多いのではないでしょうか?
私もその1人ですw
まず、寒いとボールへの影響が顕著になります。ストリングへの影響もあるそうですが、現代のストリングでは影響は少ないとのことです。
寒いとなぜボールが飛ばない?寒さによる身体への変化
では、身体はどうでしょうか。以下、ご覧ください。
寒いと筋肉も収縮して硬くなりやすく、柔軟性が低下するため、筋肉や靭帯、腱などの損傷も起こしやすくなります。
引用:健康長寿ネット
皆さんもご存知かもしれませんですが、寒さで筋肉が硬くなりやすいです。
テニススクールで働いていると、レッスン中に起こる怪我も寒い時期のほうが圧倒的に多いです。
【寒いとなぜボールが飛ばない?冬の戦略はスライスとドロップ
寒さの基本的な考えが理解されたところで、シングルス戦略について解説します。
身体を温めて、怪我のないようにすることが基本ですが、ボールが飛ばないので、浅くなりやすいのが冬のテニスです。
またボールも跳ねづらくなるため、トップスピン系のボールの勢いも減少します。
では、どうすれば良いのか?
私の答えは、球が跳ねないことを利用し、スライスショットを多く使い、ドロップショットも入れていきましょう。
全てのショットそうするということではなく、割合を増やすという意味です。
ボールが飛ばないからハードヒットする戦略にするというのもありですが、もし連戦が続く中でハードヒットを続けてしまうと、怪我をしてしまう恐れがあります。
スライスショットなら身体への負担も少ないですし、ボールが跳ねないことを武器に相手の打点を低く取らせることが出来ます。
2つのポイントパターン
そして、ここからが大事です。
スライスだけではポイントが取れない場合は、相手の返球のパターンは大きく2つです。
1つ目は、順クロスにトップスピンです。
スライスは打点が低くなるため、ボールの斜め下から持ち上げる必要があります。それはまるで、ボーリングを投げるときのような形です。
画像
そうすると、順クロスに返球が増えてきます。
順クロスに返ってきたボールを早いタイミングでダウンザラインに展開していきたいです。
2つ目は、スライスでの返球です。
ここでは相手も無難にスライスで返していく場合は、膠着状態となります。
そこで同様にラリーを続けるのも良いですが、ここでドロップショットが打てると有効になります。
相手は、スライスで返ってくるのか、ドロップショットを打たれるのか、分からない為、反応がしづらいです。
ポイントが取れなかったとしても、相手が嫌がることは明白です。
寒いとなぜボールが飛ばない?冬のアイテムは、身体を温めるアイテムが必須
寒さ対応はもちろん、身体を温めるアイテムを多く準備しましょう。
ベンチコートや暖かいコンプレッションウェアなど、各メーカーが身体を温める商品をそろえています。
私のお勧めは、手袋です。
「いやいや、手袋なんてしたら、手の感触が変わって上手く打てないよ」と言うと思いますが、ウォーミングアップで用意し、しっかり温めることが大切です。
私は冬場のレッスン中でも使用していますし、何なら手を温めるまで試合でも使ったりします。
その際は、薄手のインナー手袋を愛用しています。
以前、100円ショップに売っていて、手の感触が残っていて、温かさもあるので、とても感動しました。
今年ももちろん使います。
他にも温めグッズは多々ありますので、おススメがあれば教えてください。
寒いとなぜボールが飛ばない?冬の準備はじっくりアップ

最後は準備ですね。
ウォーミングアップはじっくり行っていきましょう。
前述した通り、怪我のリスクが上がっていますので、怪我防止のためにも各部位を温めていきます。
暖かい室内で行うのがベストですが、屋外で行う場合は、じっくりランニングから始めてください。
寒いとなぜボールが飛ばない?冬の戦略、アイテム、準備を総まとめ

・寒いとボールが飛ばなくなる。それはゴムが硬くなり、ボール内の空気が少なくなるから
・筋肉も固くなる。レッスン中の怪我も、もちろん冬が一番多い
・戦略はスライスの配分を増やす、相手の返球も予測しやすいので、それに合わせた攻撃を
・身体を温めるアイテムを、インナー手袋が個人的にお勧め
・準備は入念に、室内で体をじっくり温めたい
寒くなると、ストリングのテンションを低くしたり、ストリング自体を変える方も多くいます。
私も通常はポリエステル単体ですが、ハイブリッドを実験中です。
切れてしまわないか心配がありますが、ポリエステル単体よりも打球感も柔らかく、飛ばしやすくなるため、寒い時期にはお勧めです。
ぜひ皆さんも寒さ対応をきちんと行い、冬でもプレーを楽しんでいきましょう。